対象：院長／事務長／広報・受付
主旨：Webや院内で“迷いを減らし、行動を後押しする”短いことばの設計集。実装や計測の話には踏み込まず、編集・言語設計・体験設計に特化します。

0. 原則（Voice & Tone）

• 簡潔：1メッセージ＝1要件。助詞を削ぎ、体言止めを多用。
• ていねい：命令口調は避け、「ご案内」「〜してください」中心。
• 具体：時間・場所・持ち物・次の行動を明示。
• 配慮：医学的助言は避け、一般情報と相談先を提示。
• 長さの目安：
  • ボタン：7〜14字（最長16字）
  • 補助文（ボタン下）：18〜36字
  • 注意書き：36〜60字

迷いを減らす順番＝要点 → 期限/時間 → 次アクション。

1. 予約まわり（初診／再診）

1-1. ヒーロー（ファーストビュー）

• 見出し：
  • 受診のご案内（昼） / 本日の受診案内（当日）
  • 初めての方へ（初診） / 2回目以降（再診）
• ボタン：
  • Webで予約 / 電話で相談
  • 空き枠をみる / 今日の混雑
• 補助文：
  • 受付時間 [時:分–時:分]／[休診日]
  • 当日分は電話が確実

1-2. 予約ボタンの言い回し（状況別）

• 通常：Webで予約／初診の予約／再診の予約
• 当日：当日の受診相談（ボタン下：空き状況はお電話が確実です）
• 枠が少ない：空き枠を確認（下：最短のご案内をいたします）
• 美容/自費：カウンセリング予約（下：費用・リスクは事前にご案内）

1-3. 変更・キャンセル

• ボタン：予約の変更／予約の取消
• 補助文：前日[時:分]までWeb、以降はお電話
• 完了文：変更を承りました。メール/LINEに控えを送信しました。

2. 問い合わせ（緊急度の切り分け）

2-1. 緊急度の明示

• 見出し：迷ったらお電話ください
• 区分：
  • 至急：強い痛み・呼吸/意識の異常 → 119
  • 早め：発熱/けが/急な症状 → お電話
  • 通常：予約・費用・持ち物 → フォーム

2-2. 電話がつながらない時

• 文：回線が混み合う時間帯があります。時間をずらすかWebからご連絡ください。
• 置き場所：電話番号の近く（12〜24字）

2-3. よくある目的別の言い回し

• 費用の目安：費用の考え方（下：症状や検査により異なります）
• 持ち物：当日の持ち物（下：保険証・お薬手帳 ほか）
• 検査準備：検査前の注意（下：飲食・服薬の目安）

3. フォーム/入力のマイクロコピー

• ラベル：お名前（必須）／ふりがな（任意）／電話番号（半角）
• プレースホルダー：例）09012345678／例）山田 太郎
• エラー文：
  • 電話番号を半角数字で入力してください
  • 日時を選んでください
  • 送信できませんでした。しばらくして再度お試しください
• 送信ボタン：送信する（下：返信は[営業日/時間]）
• 完了画面：受け付けました。確認メールをお送りしました。届かない場合は迷惑メールをご確認ください。

4. 検査・準備の案内（診療科横断）

• 胃カメラ：前夜21時以降の飲食は控えてください
• 採血：当日の食事は通常どおりで構いません（※院の方針に合わせて）
• 超音波：腹部は空腹でご来院ください
• 小児：お気に入りのおもちゃ持参OK
• 美容：ダウンタイムの目安：腫れ[日数]／赤み[日数]

詳細が個別に異なる可能性は必ず注記。「一般情報です。診察時に最終ご案内」

5. アクセス・当日の流れ

• 見出し：アクセスと当日の流れ
• 導線：最寄駅[徒歩◯分]→入口→受付（三段で記述）
• ボタン：地図アプリで経路／駐車場のご案内
• 補助文：ベビーカー・車椅子の方はスタッフがご案内します

6. リマインド/ノーショー抑止の言い回し

• 前日夕方：明日[時:分]〜[診療科] ご予約の確認です。体調がすぐれない場合は変更できます。
• 当日朝：本日[時:分]のご予約です。受付は[◯分]前から。持ち物：[保険証/紹介状]
• 直後フォロー：本日のご受診ありがとうございました。次回の目安は[期間]です。

7. NG→OK 言い換え集

• NG：最短で必ず改善 → OK：症状により異なります。最適な方法をご提案します
• NG：他院より安い → OK：費用の考え方はこちら
• NG：絶対に痛くない → OK：痛みに配慮した方法をご用意しています
• NG：待ち時間ゼロ → OK：混雑の少ない時間帯をご案内します

8. 置き場所ガイド（どこに出すか）

• ヒーロー：予約・相談の主ボタン＋補助文
• 固定フッター（スマホ）：予約／電話 の2択
• 記事中段：症状チャートの下に受診の目安→予約
• FAQ末尾：次の行動（予約/電話/LINE）
• 院内掲示：A4一枚の来院手順（QRでWebへ）

9. 語彙の統一（院語）

• 使用：受診／ご案内／お問い合わせ／休診
• 回避：来店／販売／お客さま（医療にそぐわない語）
• 数字：**時刻は“◯:◯◯”、期間は“◯日”**で統一

10. テンプレ集（コピーして[ ]を差し替え）

• 初診誘導：初めての方へ（下：受診の流れと費用の目安）
• 再診誘導：2回目以降の方（下：予約の変更・キャンセル）
• 電話誘導：お電話で相談（下：[時間]／混雑の少ない目安）
• Web誘導：Webで予約（下：[診療科/メニュー] を選択）
• 検査前：検査前の注意（下：[飲食/服薬] の目安）
• 持ち物：当日の持ち物（下：保険証・紹介状・お薬手帳）
• アクセス：地図アプリで経路
• 相談先：迷ったらお電話（下：緊急時は119）

11. ミニチェック（公開前30秒）

• 目的は1メッセージ1要件になっているか
• 時間・場所・持ち物が数字で示されているか
• 医学的断定や比較表現が混ざっていないか
• 高齢者/小児への配慮があるか
• 置き場所が適切か（ボタン下／本文中段／FAQ末尾）

付録：トーンバリエーション

• やわらかめ：よろしければWebからどうぞ
• 標準：Webで予約できます
• きっぱり：当日のご予約はお電話ください

本稿は“ことば”の設計に特化しています。医学的助言や個別診断は行いません。院の方針・地域事情に合わせて[ ]内を差し替えてご利用ください。